「相続税の制度」に関するお役立ち情報
負担付き死因贈与契約と相続税
1 負担付き死因贈与契約ってそもそも何?
相続について、ネットなどで情報を集めていると、「負担付き死因贈与契約」という言葉を目にすることがあります。
ただ、これがどのようなことを指すのか、耳慣れずよく分からないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
言葉が長く、難しいので、分解してご説明します。
まず、「贈与契約」という部分は、比較的分かりやすいかと思います。
文字通り、AさんがBさんに100万円贈与する、といった契約が「贈与契約」です。
次に「死因贈与契約」とは、契約の効力が発生する時期に決まりを設けた贈与契約です。
例えば、Aさんが亡くなったらBさんに100万円贈与する、といった契約です。
最後に、「負担付き」とは、贈与するにあたって、一定の義務を課すものです。
例えば、Aさんが、自分の老後の世話をしてもらうことを条件に、Bさんに100万円贈与する、といった形式です。
「負担付き死因贈与契約」は、これらの要素が全て入った贈与契約となります。
つまり、Aさんが、Bさんに対し、「自分の老後の世話をしてくれるなら、Aさんが亡くなった際は、Bさんに100万円贈与する」、という内容の契約が「負担付き死因贈与契約」です。
2 死因贈与は相続税の課税対象です
贈与契約を締結すると、通常は贈与税が課税されるだろうと思われる方もいらっしゃるかもしれません。
たしかに、その認識は間違っていません。
AさんがBさんに贈与する際は、多くの場合、贈与税について確認しなければなりません。
しかし、死因贈与は、「亡くなった時に効力が発生する」という観点から、遺言に近い性質があります。
そのため、死因贈与は、贈与税ではなく、相続税の課税対象になります。
参考リンク:国税庁・相続税がかかる財産
3 負担付き死因贈与契約の相続税の計算
負担付きの贈与の場合、税金は、どのように計算されるのでしょうか。
例えば、AさんがBさんに対し、1000万円の土地を贈与する代わりに、BさんがAさんの借金600万円を肩代わりするという契約の場合、Bさんが1000万円の贈与を受けたと考え、課税するのは酷な結果となります。
そこで、このようなケースでは、Bさんは差額の400万円の贈与を受けたと考えることになります。
参考リンク:国税庁・負担付贈与に対する課税
相続税の際も、これと同じように考えます。
つまり、贈与の対象となる財産額から、負担(義務)の金額を引いた分を、贈与したと考えることになります。