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相続税の基礎控除

  • 文責:所長 税理士 大澤耕平
  • 最終更新日:2023年11月2日

1 基礎控除の枠内であれば相続税の申告は不要

ご家族が亡くなられて相続財産を受け継いだ際に、相続税についての話が出てくることもあるかと思います。

もっとも、相続が発生したとしても、必ず相続税を納めなければならないというわけではありません。

遺産の額が一定以下の場合には税金はかかりませんし、相続税の申告も不要です。

この相続税の申告が不要なラインのことを、「基礎控除」と呼んでいます。

では、具体的にどのような場合に申告の必要がないのか、ということについてご説明します。

2 基礎控除の基本は3000万円

基礎控除のベースは3000万円です。

つまり、遺産総額が3000万円以下であれば、原則として相続税の申告は不要となります。

ただし、亡くなった方が過去に生前贈与をしていた場合は、その生前贈与分も遺産に含まれることがあります。

そのため、一定の生前贈与も含めて、遺産総額が3000万円以下かどうかを判断する必要があります

3 相続人の数が多いほど基礎控除の枠は大きくなる

相続人が1人増えるごとに、600万円分、基礎控除が大きくなります

例えば、相続人が1人いれば、基礎控除は3600万円になり、相続人が5人いれば、基礎控除は6000万円になります。

ただし、養子については、制限があります。

仮に、養子縁組をたくさん行って相続人を多くすれば相続税が安くなるという制度設計だと、相続税を安くするためだけの養子縁組を誘発してしまうことにもなりかねません。

そこで、相続税法上は、実子がいる場合には養子は1人まで、実子がいない場合には養子は2人までしか相続人としてカウントしないというルールになっています。

参考リンク:国税庁・相続人の中に養子がいるとき

4 本当に基礎控除の範囲内かどうかは注意が必要

例えば、亡くなった方が不動産を所有していた場合、その不動産の評価額がいくらなのかは、必ずしもはっきりしないことがあります。

参考リンク:相続税評価額の計算方法

また、最近ではネット銀行エコ通帳など、通帳が存在しない銀行も増えてきたため、預金を見落としてしまう可能性もあります。

さらに、亡くなった方が、子や孫の名義の口座を作って、そこにお金を入れていた場合、名義預金として、遺産に含めなければならない場合もあります。

このように、遺産の総額が本当に基礎控除の枠内に収まっているかは、慎重に見極めなければなりません。

しかし、詳しい知識がない方が適切に判断するのは難しいといえます。

基礎控除は、相続税の申告が必要かどうかを左右する重要なものです。

枠内に収まっていると思っていたら実は相続税申告が必要だったという事態にならないためにも、基礎控除についてご不明な点等ありましたら、一度税理士に相談していただくことをおすすめします。

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