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大阪で相続税にお困りの方は当法人へ
相続税申告を集中的に取り扱っている税理士が対応いたします。申告手続きが不安な方は、安心して当法人にお任せください。
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2024年10月4日
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相続税制度
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相続税申告
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相続税を依頼する場合の税理士の選び方
1 相続税をあまり扱っていない税理士に注意
会社関係の税業務や、個人事業主の税業務は、毎年決まった時期に申告書を税務署に提出する等、定期的な申告が必要になります。
そのため、会社や個人事業主関係の税金の申告業務は、税の専門家である税理士にとって、「定期的に発生する業務」という一面があり、安定的に収入を得ることができる収入源とも言えます。
他方、相続税は、人が亡くなるという、ある意味偶然の事情によって発生するという性質があります。
そのため、相続税は安定的に収入を得ることができる業務とは言えない面があります。
こういった事情から、税理士の中には、相続税の申告業務をほとんど行ったことがない方も存在します。
相続税の申告に慣れていない税理士に、相続税の申告を依頼することで、本来は払う必要のない税金を払ってしまうという事態もあり得るので、注意が必要です。
2 相続税を中心に扱っている税理士に相談しましょう
医療の世界では、皮膚科、眼科、整形外科など、様々な分野に特化した科があります。
その理由は、人の体という複雑なものを扱うためには、特定の分野に特化することで、専門的知識や経験を高める必要があるためです。
近年では、税金の世界でも取扱業務の細分化という観点が導入されつつあり、相続税を中心に扱う税理士も増えています。
もっとも、まだ多くの税理士は個人事業主や法人の記帳代行や決算、確定申告手続等を中心に業務を行っており、相続税を中心に取り扱う税理士は、まだ多くはありません。
相続税について、クオリティーの高いサービスを受けるためには、相続税を中心に扱う税理士に相談することが大切です。相続税を中心に取り扱っている税理士を選ぶ際には、難易度の高い不動産や株式の評価を適切に行えるか、毎年変わる税制度を的確に利用できるか、相続税法や関連法令・通達に精通しているなどが重要です。
特に、不動産の評価は難易度が高く、例えば、空室がある場合の貸家建付地の評価や広大地評価の適用の可否により、納税額が数百万円変わることもありますので、特に高いノウハウが求められます。
税理士を選ぶ際には、現地調査を行うことができるかなど、不動産の評価を適切に行うことができる税理士を選ぶことが大切です。
3 相続税を中心に扱っている税理士の特徴
⑴ 相続税に特化したホームページがある
ホームページは、その税理士が力を入れているポイントをアピールする場でもあります。
相続税に特化したホームページがある事務所は、それだけ相続税に力を入れているという目安になります。
⑵ 不動産について詳しい
税金の申告と、不動産は、一見関係ないようにも思えます。
しかし、先ほどお話ししたように、相続税の申告において、不動産の評価は難易度が高く、税理士には特に高いノウハウが求められるところです。
相続税を中心に扱っている税理士であれば、不動産についても豊富な知識を持っていると考えられます。
相続税申告のお悩みは税理士へ
1 相続税申告が必要な方に知っておいていただきたいこと
相続税の申告には、被相続人が亡くなったことを知ったときから10か月という期限があります。
しかし中には、被相続人が亡くなったという悲しみの中で、自分で相続税申告の準備をすることに負担を感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そのような方は、税理士に依頼することを検討された方がよいと思われます。
では、税理士に相続税申告の依頼をする場合、どのような基準で選ぶのがよいのでしょうか。
2 相続税申告を依頼する税理士を選ぶポイント
⑴ 相続税専門の税理士を選ぶべき
税金には、消費税、所得税、法人税、相続税など様々な種類があります。
税理士も、これら税金の種類に応じて、それぞれ専門分野があります。
そのため、相続税を扱う税理士に依頼するのがよいかと思います。
⑵ 土地の評価が重要
相続税申告で一番難しいポイントは、相続財産をどのように評価するかという点です。
相続財産の中でも、特に、税理士が土地の評価を適切に行えるかによって、相続税の課税対象となる相続財産の総額が大きく変わることがあります。
相続税を依頼する税理士を選ぶ場合、土地などの財産の評価に精通しているかどうかという視点で検討するとよいでしょう。
⑶ 税制改正に精通しているか
また、相続税については、毎年のように税制改正がなされています。
国の政策が反映される分野ですので、今までとは異なる課税のルールに変わったり、新しく課税ルールが作られたりしています。
このような変化に対応できるように、相続税を専門にしている税理士に依頼するとよいでしょう。
3 弁護士など他の専門家と連携が取れるかどうか
相続税の申告を行うにあたっては、誰が何を相続するのかが決まっていなければなりません。
遺言の有無によって、遺産分割協議をしなければならない場合もあり、自分以外の相続人との関係性によっては、遺産分割協議がまとまらないこともあるでしょうし、そもそも他の相続人の住所等の連絡先が分からないため協議自体がストップしてしまうこともあるかもしれません。
そのような場合でも、弁護士等の専門家と連携しつつ、様々な問題に対応してくれるところを選ぶと安心です。
4 税理士報酬が明確かどうか
税理士に相続税申告を依頼する場合、その依頼費用は気になるところかと思います。
税理士報酬の計算方法が分かりにくいなど、不安に思っておられる方も多いのではないでしょうか。
税理士報酬は、税理士が自由に報酬を決めることができるため、その費用は事務所によって様々です。
そのため、相続税申告を依頼する税理士を選ぶにあたっては、明確な料金設定と業務の範囲を提示してくれる税理士を選ぶのがよいです。
相続税について税理士に相談するタイミング
1 相続税の申告期限
相続税の申告は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内に申告しなければならないと定められています。
通常は、相続の開始があったことを知った日として、被相続人が死亡した日が該当します。
被相続人が亡くなったばかりで落ち着かないし、相続税と言われてもわからない、10か月以内に申告したらいいのであれば、相続税のことを後回しにしても大丈夫ではないか、などと考えることもあろうかと思われます。
2 10か月はすぐに過ぎていく
しかし、親子間だけの相続ならまだいいですが、被相続人に子供がおらず、両親もいないので、相続人が最近連絡を取っていない被相続人の兄弟しかいないケースや、親子間でも、離婚した相手との間に子供がいるらしいけど、全然面識がないなどといった事情があれば、相続人が誰になるのかについて特定するだけでも一仕事になります。
相続財産も、被相続人が誰も知らない預金口座にへそくりを貯めていた場合をはじめ、様々な銀行、証券会社、保険会社等に口座を持っていた場合には、各金融機関から被相続人名義の口座の取引履歴や残高を確認する必要があります。
また、不動産についても、先祖代々相続していた、誰もどこにあるのかがわからないような山や原野があるなどすれば、相続財産を整理することも一仕事になります。
ようやく相続人や相続財産が確認できたとしても、今度は、相続財産のうち、誰がどの財産を手に入れるのか、遺産分割協議をすることも必要になってきます。
その協議がすんなりとまとまればよいですが、利害が対立したり、感情的にもつれたりして相続人が争うことになれば、それだけで相当な時間が経過してしまうことになります。
3 税理士へ相談するタイミングはできるだけ早期で
相続税の申告期限まで10か月もあると思われるかもしれませんが、今お話ししたように、10か月などすぐに過ぎてしまうものです。
相続税のことを意識されたなら、できるだけ早期に、相続税を得意としている税理士にご相談されることをお勧めします。
相続税を計算する方法
1 遺産総額を確定させる
相続税の計算をするにあたっては、まず遺産が何円あるのかを確定させなければなりません。
ここでいう「遺産」とは、亡くなった方が残した財産はもちろん、死亡保険金や死亡退職金なども含まれます。
預貯金や死亡保険金等、金額が確定している財産は分かりやすいのですが、不動産や非上場株式、骨董品等、金額が不明瞭な財産は、適切な評価額を知る必要があります。
また、生前贈与の財産も「遺産」に含まれる場合があるので、注意が必要です。
2 債務や葬式費用の額を確定させる
プラスの遺産が確定した後は、次にマイナスの遺産も確定させます。
マイナスの遺産とは、例えば住宅ローンや自動車のローン、あるいは消費者金融からの借入金などを指します。
また、未払いの税金、入院・施設費用など、亡くなった方が存命中に支払う必要があった費用も、マイナスの財産に含まれます。
また、葬儀費用は、相続発生後に発生した費用であるため、亡くなった方自身の債務とはいえませんが、相続税の計算においては、債務と同じ扱いがされます。
3 基礎控除を引いて、相続税の申告が必要かどうかを確認する
預貯金や不動産等プラスの遺産から、債務等マイナスの遺産を引いた結果から、さらに基礎控除といわれるものを引きます。
もし基礎控除を引いた結果が、0円以下になれば、相続税の申告は不要ということになります。
基礎控除は、スタートが3000万円で、そこに相続人の人数×600万円が加わります。
例えば、相続人が1人なら、基礎控除は3600万円で、相続人が2人なら、基礎控除は4200万円です。
4 相続税の申告が必要かどうかは税理士にご相談ください
これ以降の計算式は、非常に複雑なので、相続税の申告に慣れていない方が行うと、間違ってしまうおそれがあります。
また、ここまでの計算方法自体が間違っていると、これ以降の正確な計算もできません。
そのため、まずは上記3の「基礎控除を引く」までを行ってみて、相続税の申告が必要そうな場合は、税理士に相談することをおすすめします。
相続税申告のために必要となる費用
1 相続税申告の費用は大きく分けて2種類
相続税申告をする際は、一定の費用が必要になります。
その費用は、大きく分けて2種類あります。
1つは、相続税申告をするための資料集めにかかる費用です。
例えば、相続税申告をする際は、戸籍謄本が必要になります。
そのため、役所で戸籍謄本を取得するための手数料が必要になります。
また、相続税申告の資料として、預貯金の残高証明書、株式の残高証明書、登記簿謄本などの資料も必要になり、これらを取得するための手数料も必要です。
もう1つが、税理士に相続税申告を依頼する場合の税理士報酬です。
税理士報酬は、自分で相続税申告をすれば必要にならない費用ではありますが、相続税申告は専門的な知識が必要であるため、多くの方が税理士に依頼することになります。
2 相続税の申告を依頼する場合の税理士報酬の相場
インターネット上の記事などを見ると、「税理士報酬の相場は、遺産の1%前後」と記載されているものが散見されます。
しかし、税理士の報酬は事務所によって異なるため、一概に遺産の1%前後と言うことはできません。
3 多くの事務所では基本報酬と加算報酬が設定されている
多くの場合、相続税申告の報酬では基本報酬と加算報酬が定められています。
基本報酬は、通常は遺産の総額に応じて金額が定められており、例えば遺産総額が8000万円の場合は基本報酬が何円、遺産総額が1億円の場合は基本報酬が何円といった形が多いです。
他方、加算報酬とは、特別な事情がある場合に加算される報酬を指します。
例えば、相続税申告をする上では、土地をどのように評価するかが重要なポイントになります。
そのため、遺産の中に土地がある場合、報酬を加算されることが多いでしょう。
また遺産の中に上場株式や投資信託、非上場の株式がある場合にも、報酬を加算する場合があります。
さらに、相続人の人数が多い場合、相続税の申告期限が近い場合等、特別な対応が必要な場合に、報酬が加算されることがあります。
例えば、相続人が1人増えるごとに報酬を加算するといった形式が多いです。
また、相続税の申告期限が近い場合や、相続税の申告期限の1か月前までに遺産分割協議が成立しない場合、その他、複雑な調査・作業、または専門的法解釈が求められる場合などは、報酬が加算されるケースが多いでしょう。
4 まずは事務所に問い合わせましょう
結局のところ、ホームページの記載だけでは、相続税の申告にかかる費用として、全体でどのくらいかかるのかは、分からないことがあります。
相続税の申告にかかる費用がどのくらいになるのかを確認するためには、まずは税理士事務所に連絡して、税理士から相続税の申告についてよく説明を受けた上で、見積書を取られることをおすすめします。
相続税の対象となる財産
1 相続税の課税対象となる財産は大きく分けて2種類
例えば、親が亡くなって子が遺産を相続した場合、その遺産額が一定額を超えると、相続税の申告が必要になります。
ここでいう「遺産額」がどれくらいかという議論は、何が「遺産」に含まれるのかという点と密接に結びついています。
極論を言えば、どれだけ高額な財産であっても、それが「遺産」に該当しないのであれば、遺産額には影響しないため相続税の心配をする必要はないということになります。
相続税の分野では、「遺産」に該当するものとして「本来の相続財産」と「みなし相続財産」の2種類があると考えられています。
以下では、「本来の相続財産」と「みなし相続財産」について、ご説明します。
2 「本来の相続財産」とは何か
「本来の相続財産」とは、イメージとしては、亡くなった方が所有していた財産すべてです。
例えば、代表例として土地、建物、預貯金債権といったものがあります。
他にも、証券会社に預けている株式、誰かへの貸付金などはもちろん、著作権や特許権といったものも、「本来の相続財産」です。
参考リンク:国税庁・相続税がかかる財産
3 「みなし相続財産」とは何か
一方、「本来の相続財産」と異なり、「みなし相続財産」はイメージがしづらいかもしれません。
「みなし相続財産」は、法律上は遺産とはいえないかもしれないものの、相続税の公平な課税という観点から、相続税の課税対象となる財産を指します。
代表例は、亡くなった方が保険料を負担していた生命保険の死亡保険金です。
例えば、Aさんが、「自分が亡くなったら、長男Bに3000万円の死亡保険金が支払われる」という生命保険に加入していたとします。
この場合、Aさんが亡くなると、長男Bさんに3000万円が支払われますが、これと「Aさんが遺言で、長男Bさんに3000万円相続させる」というのは、結果としては同じことが行われるのであり、非常に似通っています。
そこで、死亡保険金は、亡くなった方が所有していた財産とはいえないけれども実質的には遺産に近いものとして、相続税の課税対象になるのです。
他にも、死亡退職金など、いくつかの財産は「みなし相続財産」として、相続税の課税対象になります。
もし気になるものがありましたら、一度税理士にご確認ください。
相続税申告の流れ
1 相続人の人数を確定させる
相続税申告をする上で、最初に行うことは、相続人の人数を確定させることです。
相続人の人数によって、相続税の申告が必要かどうかも変わってきます。
相続人の人数を確定させるためには、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍がすべて必要となります。
戸籍は、婚姻・離婚等のタイミングで新たに作られるため、これらを何度も繰り返している方の場合は、戸籍を集めるだけでも手間がかかります。
したがって、戸籍の収集は早めに対応することが大切です。
2 財産の調査
相続税は、亡くなった時に存在していた財産について課せられます。
そのため、どのような遺産があるのかについて、詳細な調査が必要です。
例えば、預貯金の残高を調べたり、証券会社に株がないかを調べたりすることになります。
また、債務の調査も同時に行う必要があります。
債務があれば、その分相続税の負担を軽くすることができますので、しっかりと調査することが大切です。
3 みなし相続財産の調査
死亡保険金や、死亡退職金などは、厳密には遺産とは考えられていません。
しかし、相続税の申告をする上では、これらの財産も遺産に含めます。
そのため、亡くなった方が加入していた生命保険なども調査する必要があります。
4 財産の評価を行う
遺産の中には、評価をつけるのが難しいものがあります。
例えば、骨董品や美術品は、どれくらいの値がつくのかは、調査をしないと分かりません。
また、上場株式についても、いつの時点での株価を相続税の申告書に記載するかは、慎重な検討が必要です。
さらに、土地の評価は非常に厄介な問題です。
税務署が定めた独特の基準に照らして、その土地がいくらの価値がある財産なのかを決めなければなりません。
5 遺産の分け方を決める
遺産の調査をした後は、それらの分け方を決めないと、相続税を軽くするための特例が使えない場合があります。
そのため、相続税の申告をするまでに、遺産の分け方も決めておくことが大切です。
6 相続税申告書の作成
税務署に提出する相続税の申告書を作成します。
相続税の申告書が完成したら、税務署に提出し、同時に納税をします。
ここまでのことを、相続開始から10か月以内に行う必要があるため、スケジュールには余裕を持っておくことが必要です。
相続税申告に不安がある場合は、お早めに税理士に相談することをおすすめします。
相続税の申告が必要な場合とは
1 遺産が3000万円以上ある場合は注意が必要
相続税の申告は、相続が発生した場合、常に必要であるというわけではありません。
相続税の申告が必要になるのは、一定額以上の遺産がある場合のみです。
その目安になるのが、3000万円という数字です。
遺産総額が3000万円以下の場合、相続税の申告は不要になります。
この3000万円は基礎控除と呼ばれています。
3000万円は非課税の枠内なので、相続税が課せられないということです。
他方、遺産が3000万円を超える場合は、相続税の申告が必要になる可能性があります。
2 相続人の数によって相続税の申告が必要かどうか変わる
仮に相続人が1人いれば、非課税の枠が600万円増えます。
例えば、相続人が1人の場合、先程の3000万円と合わせて、3600万円までが非課税枠です。
3600万円を超えると相続税の申告が必要となります。
また、相続人が2人いれば、さらに非課税の枠が600万円増えるため、4200万円までが非課税の枠となり、これを超えると相続税の申告が必要ということになります。
3 不動産の評価額に注意
遺産という言葉のイメージからは、「亡くなった時の預貯金」が非課税の枠の範囲内なら大丈夫と思ってしまいがちです。
しかし、当然ながら遺産の中には、他の財産も含まれます。
例えば、大きな財産として、不動産があります。
特に、土地については、相続税の申告をする際に使う基準で評価額を決めるため、土地がどれくらいの遺産として評価されるのかは、専門家に相談することが大切です。
4 タンス預金や名義預金に注意
仮に亡くなった方が、自宅に多額の現金を置いている場合、その現金も遺産に含まれます。
そのため、家の中をくまなく調べる必要があります。
特に、金庫が家にある場合は、金庫の中をしっかり確認すべきかと思います。
また、亡くなった方が、家族名義の通帳にお金を入れて管理していた場合、その口座のお金は名義預金とされ、遺産とみなされる場合があります。
5 生命保険や死亡退職金に注意
死亡保険金や死亡退職金は、民法上は遺産とは考えないのが原則ですが、相続税の申告上は遺産とみなされることになっています。
極端な例だと、預貯金が100万円で、死亡保険金が1億円であれば、多くのケースで相続税の申告が必要になります。
6 生前贈与に注意
生前贈与した財産も、一定の範囲で、遺産とみなされる場合があります。
そのため、相続発生後は、生前贈与の有無についても調査が必要です。
相続税の対策は税理士に相談を
1 相続税対策をしないとご家族が困るかもしれません
相続税の対策を万全にしておかないと、残されたご家族が困ってしまうことがあります。
例えば、突然相続が発生して、国から、あなたは5000万円の相続税を納めなければならないと言われたら、ご家族にとっては大変な負担となりますし、場合によっては自宅を売却するなどして相続税を支払わなければならなくなるかもしれません。
また、「遺産の中に、十分な預貯金があるから大丈夫。」とお考えの方は、注意が必要です。
仮に、遺産の預貯金の範囲内で相続税を支払うことができるとしても、預貯金の払い戻しができるとは限りません。
金融機関に対して預貯金の払い戻しを求める場合は、相続人全員の同意が必要になります。
そのため、遺産の分け方で揉めてしまい遺産分割協議が成立しない場合、相続人の1人とまったく連絡がつかない場合や無視されてしまった場合、相続人の1人が認知症で遺産分割協議をするために必要な判断能力がない場合などは、相続人全員の同意がないということとなるため、預貯金の払い戻しが難しくなります。
そうなれば、ご家族は自分の預貯金を使って、相続税申告の期限内に、とりあえず相続税を支払わなければならなくなってしまいます。
相続税申告の期限は、相続発生を知った時の翌日から10か月ですので、この期間内に遺産分割協議が成立しないケースは少なくありません。
このような事態を防ぐためにも、相続税の対策はしっかりと進めておく必要があります。
2 相続税の対策は専門的なノウハウが必須
相続税の対策を行うためには、まず「今、相続が発生したら、どれくらいの相続税を払う必要があるのか」を確認・認識するところから始めなければなりません。
そのためには、今の自分の財産状況を詳細に把握した上で、今後のライフプランを踏まえた検討が必要です。
また、残されたご家族が、遺産の預貯金を納税資金にできるよう、生前のうちから手配をしておかなければなりません。
ここで、安易に生前贈与などを行うと、多額の贈与税が課せられる可能性があるため、注意が必要です。
3 相続発生後も税理士のアドバイスは不可欠
相続が発生した場合は、みなし相続財産を含む相続財産がどれくらいあるか確認して、基礎控除の範囲を超えていれば、いよいよ相続税の申告をすることになります。
相続税の申告をする上で、注意しなければならないのは、期限があるということです。
原則として、被相続人が亡くなったことを知った時の翌日から10か月以内に相続税の申告書を作り、税務署に提出し、納税まで行う必要があります。
相続税の申告書を作るためには、遺産の調査、遺産の評価、遺産の分け方の決定、生前贈与の有無の確認や資料の収集、整理など、短い期間でやらなければならないことがたくさんあります。
残されたご家族が葬儀の手配などをしながら、これらの相続財産調査や資料収集などを進めることは非常に負担となると思われます。
そのため、相続発生後は、相続税に詳しい税理士のアドバイスを受けながら、迅速に手続きを進めることが大切です。
誰が相続税を申告・納付する義務者となるのか
1 相続税の申告・納付する義務があるのは相続人だけではない
相続税という言葉からすると、「相続人が納める税金」というイメージがありますが、実際はそうではありません。
相続人でなくとも、相続税の申告・納付をする必要がある場合があります。
ここでは、相続税の申告・納付の義務者が誰かについて、ご説明します。
2 相続税の申告・納付の義務者とは
法律上は、「相続や遺贈で財産を取得した人で、財産をもらった時に日本国内に住所を有している人」が、原則として相続税の申告・納付の義務者とされています。
参考リンク:国税庁・相続税がかかる場合
「相続で財産を取得」では、一般的な相続の場面が想定されています。
例えば、お父さんが亡くなり、相続人の長男と二男が財産を相続するような場面が典型例です。
次に「遺贈で財産を取得」では、遺言書によって財産の受取人が指定されている場面が想定されています。
例えば、先ほどの例で、長男の妻が介護を頑張ってくれたため、お父さんが、「長男の妻に1000万円を渡したい」旨を遺言書に書いておけば、長男の妻は「遺贈で財産を取得」したことになります。
この場合、長男の妻は相続人ではありませんが、相続人と同様に、相続税の申告・納付の義務を負います。
3 海外に住んでいれば相続税の申告・納付は不要なのか
相続税の申告・納付の義務を負うのは、「日本国内に住所を有している者」であるとご説明しましたが、それでは海外に居住している人が遺産をもらった場合は、どうなるのでしょうか。
このあたりは、財産を取得した方が、日本国籍を有しているかどうかや、過去10年以内に日本に居住していたかなどによって、結論が変わるため、詳細は専門家に相談していただくことをおすすめします。
4 遺産をもらわなくても多額の生前贈与があれば注意が必要
生前贈与をする際に利用できる制度の一つに、相続時精算課税制度というものがあります。
この制度を使うと、贈与をした時点では、2500万円の贈与まで贈与税を支払う必要がありません。
その代わり、相続が発生した際は、その贈与した財産は相続税の課税対象になります。
そのため、例えば、お父さんが亡くなり、長男が1億円の遺産を相続し、二男は遺産を全く相続しなかったとしても、二男が相続時精算課税制度によって、生前贈与を受けていた場合、二男も相続税の申告・納付の義務を負うことになります。
相続税に強い税理士に依頼するメリット
1 短期間での申告が可能
病院では、内科や外科など、複数の専門分野があります。
税金に関する手続きでも同じく、各税理士によって得意な分野というものがあります。
相続税の申告をする上では、戸籍謄本の取得、預貯金の残高証明書の取得、固定資産税評価証明書の取得といった、必要書類の収集や、「財産評価基本通達」に従った財産評価など、専門的なノウハウが必要です。
もし、慣れていない分野の相談を受けた場合、税理士は、専門書で最初から勉強し、手探りで手続きを進めていくことになるかもしれません。
そうなった場合、相続税の申告書が完成するまで、調べる手間の分だけ時間がかかってしまいます。
しかし、相続税の申告は10か月という期限があり、これを過ぎると余計な税金を納めることになります。
そのため、相続税に強い税理士に依頼し、短期間で申告書の完成を目指すことが重要です。
相続税に強い税理士であれば、相談を受けた時点から10か月という期限を見据えて、どのタイミングで、どういった資料を取得し、どの時点までに相続税申告書を完成させるといった見通しを、すぐに立てることができるからです。
2 税務調査の回避
税務署は、適正な税金の徴収を使命としています。
そのため、不適切な相続税の申告をした場合、税務署が調査にやってくることがあります。
不適切な相続税の申告の例として、一部の銀行の預金を見落としていたというケースがあります。
たとえば、遺産の調査の時点では、4つの通帳があったため、4つの銀行の預金だけ残高証明書を取得したものの、実は通帳を発行しないタイプの預金もあった、というのが典型例です。
特に、最近では、ネット銀行に口座を持っている方が少なくないので、通帳がない銀行口座というものは、決して珍しくありません。
また、亡くなった方が、子や孫の口座を作っており、子や孫に断りなく、その口座にお金を定期的に振り込んでいたような場合だと、これらの口座は「名義預金」と言われる可能性が高く、遺産として計上しなければならないことがあります。
このようなケースでは、遺産総額を過少申告していることになるので、差額分の税金を納めなければなりません。
相続税に強い税理士であれば、このような税務調査を回避するために、徹底的な遺産の調査を行います。
3 二次相続への考慮
配偶者が遺産を相続した場合、1億6000万円までは、相続税がかかりません。
この制度を利用するために、いったん配偶者に全遺産を取得してもらうといったことをする方がいらっしゃいます。
しかし、もし全遺産を取得した方が、その数年後に亡くなった場合はどうなるでしょうか。
夫婦が二人とも亡くなっている以上、配偶者の税額軽減は使うことができません。
その結果、一次相続の時は相続税が軽くても、二次相続まで考えると、相続税が高くなってしまうということも珍しくありません。
相続税に強い税理士であれば、二次相続を踏まえた検討をすることができます。
相続税の申告時に用意する書類
1 相続税の申告にはたくさんの書類が必要
相続税申告は、遺産総額や相続人の人数を明らかにして、正確な税額を計算しなければなりません。
また、その計算結果が合っているかどうかを、税務署がチェックできるよう、相続税の申告書には資料をつけることになっています。
ここでは、相続税の申告に関する書類について、ご説明します。
2 相続人の人数を明らかにするための書類
相続人の人数によって、相続税の計算結果は異なります。
同じ遺産額でも、相続人の人数が多ければ多いほど、相続税は少なくなります。
そこで、相続人の人数を証明するための資料を、申告書につける必要があります。
相続人の人数を証明するための資料とは、戸籍謄本です。
まず、亡くなった方について、出生から死亡までの一連の戸籍謄本が必要です。
その他、どのような種類の戸籍謄本が必要かは、相続人が子なのか、兄弟なのかなどによって、変わってきますが、相続人のそれぞれについて、戸籍謄本を用意しておくことが必要になります。
3 不動産に関する資料
遺産の中に不動産がある場合、不動産に関する資料が必要です。
まずは、その不動産が遺産であること、つまり亡くなった方がその不動産の所有者であることを示すために、登記簿謄本が必要となります。
また、特に建物については、固定資産税評価額が、そのまま遺産としての評価額になるので、固定資産税評価額を証明する書類も必要です。
4 金融資産の残高を証明する書類
預貯金などの金融資産がある場合、その残高を証明する書類が必要になります。
例えば、預貯金であれば、通帳や、残高証明書といった書類が必要です。
また、定期預金については、利息が発生している場合があるため、相続が起きた時点での利息について計算した書面を、銀行に作成してもらうことになります。
上場株式であれば、亡くなった当時の株数や、直近の株価数か月分を証明する書類が必要になります。
こういった金融資産の資料は、銀行や証券会社から取り寄せる必要があります。
金融機関によっては、1か月程度の時間が必要になることもあるので、早めに取り寄せておきましょう。
5 生命保険に関する資料
生命保険は、厳密には遺産ではありませんが、相続税の課税対象となります。
そのため、亡くなった方が生命保険に加入していた場合は、保険金がいくら支払われたのかを証明する資料が必要です。
6 相続財産の控除に関する資料
死亡時に未払の費用(たとえば医療費)は相続財産から控除されます。
そのため、医療費の領収証など、医療費がいくら支払われたのかを証明する資料が必要です。
また、未払いの税金や借入金も相続財産から控除されます。
税金や借入金の請求書など、未払いの税金や借入金がいくら残っているのかを証明する資料も必要になります。
そして、亡くなった方のお葬式に関する費用も、一定の範囲で相続財産から控除されます。
お葬式に関してかかった費用の領収証や、領収証がないものでも、お布施等のお金を支払った記録などが、資料として必要になります。
相続税の相談から申告までの期間
1 相談までの期間
ご家族が亡くなった後は、役所での手続き、お葬式、四十九日など、慌ただしい日々が続くことと思います。
そのため、ついつい相続税の申告については、後回しになってしまいがちなのではないでしょうか。
しかし、相続税の申告には10か月という期間制限があります。
そのため、できるだけ早い段階で税理士に相談をすることが大切です。
相続発生後から3か月ほど経過したくらいで税理士に相談すると、相続税の申告で慌てることなく、手続きを進めることができます。
ここでは、申告までの期間の目安についてご説明いたしますので、参考にしていただければと思います。
もちろん3か月より前でも、相続発生後はできるだけ早い段階で、税理士に相談することをおすすめします。大阪の方は、税理士法人心 大阪税理士事務所をご利用ください。
2 必要書類の取り寄せは3か月を目安に
相続税申告を行うためには、様々な書類が必要になります。
まず、亡くなった方の戸籍謄本や、相続人の戸籍謄本の取得が必要です。
特に、亡くなった方の戸籍謄本は、出生から死亡まで全種類必要になります。
戸籍謄本は、本籍地が変わっている場合には、変わった分だけさらに戸籍を集めなければなりません。
また、遺産の内容を調べなければならないため、不動産に関する書類や、預貯金に関する書類を集める必要もあります。
もっとも、遺産に関する資料は、相続人であることの証明をしなければ、集めることができません。
そのため、遺産に関する資料は、戸籍謄本を集めてから取得することになります。
相続人が誰なのかや、どのような遺産があるのかによって変わりますが、必要な書類を集めるための期間としては、3か月程度が目安になります。
3 2か月で相続税の申告書を作成する
必要な資料が集まった後は、相続税の申告書を作成します。
相続税を軽減するための制度を活用しつつ、適切な納税額を計算しなければなりません。
特に、土地については、評価の方法によって金額が変わることがあるため、慎重な検討が必要です。
必要な書類が集まってから、相続税申告書を作成するまでに必要な期間は、2か月程度が目安になります。
4 税務署から通知が送られてきたらどうするのか
ご家族が亡くなられてから6か月ほどした後、税務署から、相続人に対して、相続税の申告義務を確認する「相続税についてのお尋ね」が送られてくることがあります。
亡くなられた人の生前の所得水準や、持っておられた不動産の内容、支払いがされていた生命保険の内容などによって、相続税の申告が必要であると見込まれる人に対して、税務署からそのような通知が送られます。
税務署から通知が送られるまでに、相続税の申告の用意を進められていればよいのですが、通知を送られるまで何もしていなかった、これから用意をするというのであれば、相続税の申告期限に間に合わなくなるおそれがあります。
そのような場合でも、今後の申告手続をどうすればよいかについて、まずは税理士にご相談されることをおすすめします。
相続税の相談は不動産評価に強い専門家へ
1 不動産の評価が重要な理由
⑴ 不動産は預貯金等と違い評価額を下げることが可能
相続税は、相続財産の総額の多寡で税額が決まるため、相続財産が少ないほうが、相続税の金額が少なくなるという制度になっています。
他方、相続財産が多くなるほど適用される相続税率が高くなりますので、相続税額を減らすためには、課税対象になる相続財産の評価総額を減らす必要があります。
では、相続財産の評価額を下げれば、相続財産の総額を下げることができるとしたら、どうでしょうか。
たとえば、被相続人が亡くなった時に預貯金が1000万円あった場合、その預貯金は1000万円の評価になり、これを変えることは難しいでしょう。
他方、不動産は、必ずしも一律で画一的に評価額が決まっているわけではありませんので、場合によっては、評価額を下げることができます。
相続財産が不動産の場合、相続税評価額で評価を行います。
相続税評価額は、売買価格とは異なる基準です。
具体的には、路線価方式または倍率方式のどちらかで算出され、一般的に売買価格の8割程度の評価になるといわれています。
もし、不動産の評価額を下げることができれば、相続財産全体の評価額も減ることになりますので、相続税額を軽減することが可能になります。
⑵ 不動産の評価方法は複雑
不動産の評価は、様々な方法があります。
たとえば、一般的に、土地は正方形のような「きれいな形」をしていると、一番利用しやすく、価値が高いとされています。
そのため、土地が正方形ではなく、いびつな形状をしている場合、その土地の評価額を下げることができます(これを「不整形地」といいます)。
他にも、土地のすぐ近くに墓地があったり、高架線があったりといった事情で、評価額が下がる場合があります。
このように、相続税の申告においては、評価額を下げるためのルールがたくさんありますが、どういったケースで、どういった評価をするのかは非常に高度な知識と経験が必要になります。
しかし、適切に不動産を評価すれば、相続税を軽減できる可能性がある以上、相続税の不動産評価に関する複雑なルールを把握し、そのルールに基づき適切に不動産評価をして、適正な相続税の申告書を作る必要があります。
2 税金の専門家が不動産評価に詳しいとは限らない
会社関係の税金業務など、相続税以外の業務の中では、不動産の評価が必要になる場面は、あまり多くありません。
つまり、相続税の申告以外の業務を中心に扱っている専門家は、必ずしも不動産の評価に詳しいとは限りません。
反対に、相続税の申告をする際は、ほとんどの場合で不動産の評価が必要になります。
そのため、相続税を中心に扱っている専門家であれば、不動産評価のノウハウも蓄積されており、適切な不動産評価が可能です。
3 相続に関する法律に詳しくない専門家に注意
法律上の制度と、税金上の制度は、基本的に結論が一致していなければなりません。
たとえば、法律上、7000万円の相続財産を取得することになった方には、それに見合った相続税の課税がなされる必要があります。
そのため、相続税の申告を扱う上では、相続に関する法律の知識が不可欠です。
たとえば、遺留分侵害額請求や、特別寄与の制度といった、最近改正された相続分野の法律についても、知識やノウハウが必要です。
普段、会社関係の税金業務を中心に行っている専門家は、相続案件をあまり行っていないため、法律改正などについて十分な研究をしていない可能性があります。
他方、普段から相続税の申告を多く扱っている専門家は、相続分野の法律や法律改正についても、業務の必要性から、十分な研究を行っているケースが多いと言えます。
そのため、相続税の申告を専門家に依頼する場合は、その専門家が相続に関する法律に詳しいかどうかを確認することをおすすめします。
相続税に関する代表的な特例
1 相続税を軽減する特例はたくさんある
相続税の負担は、軽いに越したことはありません。
もし、相続税を軽減する特例があるのに、その特例を知らなかったり、特例を使いたいという申請をしなかったりしたために、相続税の負担が増えてしまうのは、何としても避けたいところです。
そこで、相続税を軽減するための代表的な特例について、ご説明します。
2 土地の評価を下げる小規模宅地等の特例
相続税は、遺産総額が多ければ多いほど、負担が重くなります。
では、仮に遺産総額を減らすことができれば、どうなるでしょうか。
例えば、1000万円の価値がある土地を、200万円の土地であると評価できれば、遺産総額は800万円も少なくなり、それだけ相続税の負担が軽くなります。
それを可能にするのが、小規模宅地等の特例です。
小規模宅地等の特例を使うことができれば、最大で土地の評価額を80%減額できる可能性があります。
小規模宅地等の特例は、亡くなった方の自宅はもちろん、人に貸していた土地についても、適用されます。
もっとも、どのような場合に、どれくらい評価額を減額できるのかは、ケースバイケースです。
3 配偶者の負担を減らす配偶者控除
相続税では、配偶者には特別な配慮がされています。
配偶者が遺産を相続した場合、1億6000万円までは相続税がかからなくなります。
また、配偶者が相続した財産が、法定相続分の範囲内である場合は、相続税はかかりません。
例えば、遺産総額が10億円で、配偶者が5億円の遺産を相続した場合には、法定相続分の範囲内なので、相続税がかからなくなるということになります。
4 続けて相続が起きた場合の相次相続控除
相次相続控除は、10年以内に2回以上相続が起きて、相続税の申告が必要になった場合、相続税が軽くなるという制度です。
例えば、父親の相続の際に、相続税を1億円支払って、次の年に母親が亡くなり、相続税申告をすることになった場合、短期間に何度も相続税を支払わなければならなくなります。
そのような負担を軽減するため、10年以内に続けて相続が起きた場合には、相続税が軽減される制度があります。
5 特例や控除が適用できるかについてはご相談ください
以上、相続税について代表的な特例や控除をご紹介しましたが、この他にも様々なものがあります。
これらの特例や控除を利用するための要件がそれぞれにありますので、詳しく知りたい方や、自分の場合には何が利用できるかどうか教えてほしいという方は、お気軽に当法人の税理士へご相談ください。
各専門家が連携できることの強み
1 税理士のアドバイスだけでは対処できないことも
相続税の申告を行うにあたって、被相続人が遺言を書いていないケースでは、相続人全員で遺産分割協議を行う必要がありますので、相続税申告の準備と、遺産の分け方についての話合いを同時並行で進めていくことが多いです。
遺産分割では相続人全員の合意が必要です。
相続人全員の合意が得られた場合には、このことを証明するため、相続人全員が遺産分割協議書に実印を押印し、印鑑証明書を添付する必要があります。
そして、相続税申告や相続登記手続をする際には、この遺産分割協議書を添付して関係各所に提出することになります。
このように、相続手続といってもさまざまな手続があり、進め方も事案によって変わってくることが多いです。
そして、各局面で、相談が必要となる専門家が変わってくるため、どの内容をどの専門家に相談すればよいか迷う方も多いと思います。
具体的には、遺産をどのように分けるのかという点は、税金の問題ではなく、法律の問題になるため、税理士はアドバイスができないとされています。
特に、遺産の分け方について、相続人同士で揉めてしまった場合、税理士は一切立ち入ることができません。
また、遺産の中に不動産がある場合は、不動産の名義変更が必要になりますが、法律上、税理士は不動産の名義変更を行うことが認められていません。
このように、一連の相続手続を進める上では、税理士だけの力ではなく、他分野の専門家の力が必要となる場面があります。
2 最初から各専門家が相談に同席することが可能
遺産分割協議、相続登記、相続税申告では、相談すべき専門家が異なります。
税理士と他の士業など、各専門家が連携している事務所であれば、初回の相談から、各専門家が相談に同席することが可能です。
そうすれば、相談者の方からご事情を伺うのは1回で済みますし、必要な資料は、各専門家で共有することができるため、必要以上に多くの資料を集めていただく必要はなくなります。
そして、1個の窓口に対する1回のご相談によって、遺産分割協議、相続登記、相続税申告といった手続を、まとめて解決することが可能になります。
例えば、遺産をどのように分けるのかという点が問題になっていれば、法律の問題になるため、税理士はアドバイスができなくても、弁護士ならば適切にアドバイスをすることができます。
また、遺産の中に不動産があり、不動産の相続登記が必要になる場合でも、税理士は不動産の相続登記の手続を行うことができませんが、司法書士ならば相続登記の手続を行うことができます。
もし、各専門家が連携していない場合は、相談者の方が各専門家の事務所を個別に訪問することになります。
その場合、それぞれの事務所で最初から事情を説明し、必要な資料も複数用意しなければならなくなり、大変な労力がかかることになります。
各専門家が連携していれば、余分な手間をかけることなく、手続きを進めていくことが可能です。
3 あらゆる面から最適な見通しを立てることが可能
例えば、医療の世界では、チーム医療という言葉があります。
さまざまな分野の専門家がチームを組み、各方面からの意見を出し合うことで、最適なサービスを実現するための制度です。
相続の場面では、相続税の申告、遺産の分け方、不動産の名義変更、預貯金の解約手続きなど、さまざまなことを同時に解決していかなければなりません。
そのため、チーム医療と同じように、複数の専門家の協力が重要なポイントになります。
最初から、税理士を含む複数の分野の専門家が相談に入ることで、今後の相続手続全般について、最適な見通しを立てることが可能となります。
そして、よりスムーズに相続税申告まで進めることができる可能性があります。
このように、複数の分野の専門家によって最適な見通しを立てた上で、遺産分割協議、相続登記、相続税申告といった手続を、1個の窓口に対する1個の相談によって、解決していくことになります。
相続税の過剰な支払いにご注意
1 知らないうちに相続税を払い過ぎてしまうことも
相続税は、遺産総額が多ければ多いほど高額になります。
そのため、例えば遺産の評価方法を間違ってしまい、遺産総額が膨れ上がってしまった場合、その分相続税も多く支払わなければなりません。
一方、相続税の申告や納税を受ける税務署は、相続税の申告や納税が不適切であり、相続税を過剰に納めていたとしても、そのことを指摘することはなく、税務署側から修正の手続が行われることもありません。
ここでは、相続税を過剰に納めることになりがちなケースについて、解説します。
2 土地の評価方法が不適切だった
土地をどのように評価するかは、非常に難しい問題です。
例えば、土地が正方形であれば計算はしやすいですが、いびつな形をしている場合は、土地の評価額の減額を検討することになります。
また、その土地の周囲に線路がある場合やお墓がある場合などにも、土地の評価額が減額されることがあります。
さらに、土地が平たんではなく、傾斜があったりする場合も、減額要因になります。
このように、土地は様々な要素を考慮して評価しなければならないため、税理士によって評価額が大きく変わることがあります。
もし、何らかの見落としで、土地を過大に評価してしまった場合、遺産総額が上がり、相続税も高くなってしまうこととなります。
3 相続税を軽減する特例を見落としていた
例えば、配偶者が遺産を相続した場合、特例を利用することにより相続税を大幅に減額できることがあります。
また、相続人の中に未成年者がいる場合や、障害者がいる場合も、相続税を軽減できるケースがあります。
さらに、続けて次の相続が起きたような場合も、相続税を軽減できるケースがあります。
このように、相続税を軽減する特例は複数あり、うっかり見逃してしまうと、相続税を払い過ぎてしまう可能性があります。
4 相続税申告に不慣れな税理士だった
「税理士に相続税の申告を依頼したのに、間違った内容で申告することがあり得るのか」と思った方もいるかもしれません。
しかし、相続税に詳しくない税理士が相続税申告を行った場合は、知識や経験が不足していることなどが原因で、不適切な申告をし、過剰に相続税を納税することになってしまう可能性があります。
例えば、上記2でご説明したとおり、相続税申告をする上では、土地の評価が非常に重要で、かつ難しいポイントですが、相続税申告に慣れていない税理士は、土地の評価を適切に行うことができず、不適切な申告をしてしまうことがあり得ます。
5 相続税に強い税理士に相談しましょう
税理士の中には、年に1件程度しか相続税の申告を行わない方もいます。
慣れない業務を行えば、その分見落としやミスが多くなりがちです。
そこで、適切な相続税の申告をするために、相続税に強い税理士に依頼し、過剰な税金の支払いを防ぐことが大切です。
また、過剰に相続税を納税してしまった場合、更正請求をして、納めすぎた相続税を還付してもらうことができます。
その手続を依頼する際も、相続税の申告や更正請求に手慣れている税理士に依頼することが大切です。
相続税を適切に申告・納付しなかった場合のペナルティ
1 適切な申告をしないとペナルティが課せられる
例えば、不動産をお持ちの方であれば、毎年固定資産税の納税通知が届きます。
そこには、「税金を〇〇円納めてください」ということが明記されているため、自分で資料を集めたり、税金を計算したりする必要はありません。
しかし、相続税は、納税の連絡が来るわけではなく、相続人が自分で納税が必要か判断した上で、資料を集めて相続税申告書を作成し、納税額を確定させる必要があります。
もし、相続税申告をうっかり忘れていたり、不適切な申告をしてしまったりした場合は、ペナルティを課せられてしまいます。
そのため、まずは、相続税をいつまでに支払わなければならないかという期限の確認から始めるとよいかと思います。
相続税の申告期限は、通常は、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。
申告だけではなく、納税も含めて10か月以内に行わないといけない点に注意が必要です。
なお、申告期限にあたる日が土日祝日の場合は、これらの日の翌日が申告期限になります。
ここからは、期限までに適切に申告をしなかった場合のペナルティについて説明します。
2 税金を納めなかった場合の延滞税
適切な金額を納税しなかった場合、延滞税がかかります。
期限を経過して2か月以内であれば、年7.3%と、延滞税特例基準割合+1%のいずれか低い割合が適用されます。
また、期限を経過して2か月以上であれば、年14.6%と、延滞税特例基準割合+7.3%のいずれか低い割合が適用されます。
令和6年1月1日から同年12月31日については、延滞税特別基準割合による税率の方が低いため、期限から2か月以内であれば2.4%、期限から2か月を経過すると8.7%になります。
なお、延滞税特例基準割合とは、各年の前々年の9月から前年の8月までの各月における銀行の新規の短期貸出約定平均金利の合計を12で除して得た割合として各年の前年の11月30日までに財務大臣が告示する割合に、年1%の割合を加算した割合をいいます。
参考リンク:国税庁・延滞税の割合
3 申告しなかった場合の無申告加算税
期限までに相続税申告をしなかった場合は、期限後申告として取り扱われた上、無申告加算税が課せられます。
注意点としては、債務控除後の相続財産の総額が、基礎控除額を超えている場合は申告が必要です。
また、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を利用する場合は、仮に相続税が0円になるとしても申告をしなければなりません。
申告しなかった場合は、特例の適用を受けていない前提で相続財産の総額が計算されることとなり、相続税が課税され、さらに無申告加算税も課税されることとなります。
税務署から指摘を受ける前に申告をすれば、5%で済みますが、税務署から指摘を受けてから申告をした場合、10%~20%の無申告加算税が課せられます。
なお、期限後申告であっても、その期限後申告が、法定申告期限から1か月以内に自主的に行われた場合で、納付すべき相続税額の全額を期限までに納めていること、その期限後申告をするまでに、無申告加算税または重加算税を課されたことがないなど、一定の事情がある場合は、無申告加算税が課されないことがあります。
4 少なく申告した場合の過少申告加算税
故意かどうかに関わらず、適正な金額を納付できていなかった場合は過少申告加算税という税金が課せられます。
相続税額によって異なりますが、10%~15%が課税されます。
もっとも、税務署から指摘を受ける前に自主的に修正申告をした場合は、過少申告加算税は課されません。
ですので、過少申告加算税は、税務署の調査を受けた後で修正申告をしたほか、税務署から申告税額の更正を受けた場合に、新たに納める税金に加算してかかることになります。
5 悪質な場合の重加算税
相続税は遺産が多ければ多いほど、納めるべき税金額も増えていきます。
そのため、なかには、相続財産を意図的に隠したりするなどして遺産総額をごまかし、少ない遺産額で相続税申告をしようとする方もいます。
しかし、このような意図的な税金逃れに対しては、重加算税という重いペナルティが課せられます。
具体的には、無申告であった場合には40%、過少申告であった場合には35%の重加算税が課せられることとなります。
相続税の対策の一例
1 現金を土地に変える
たとえば、2億円の現金を持って亡くなった場合、その現金は2億円の遺産と評価されます。
では、生前のうちに、この2億円を使って、2億円の土地を買った場合はどうなるでしょうか。
一見、2億円で土地を買ったのだから、相続税の申告の際も、その土地は2億円の土地として、申告することになりそうです。
しかし、相続税の申告の際は、国税庁が決めた基準に従って土地を評価することになります。
高値がつきやすい都市部の土地であれば、路線価という基準が用いられます。
この路線価は、土地の時価の8割くらいが目安と言われています。
そのため、2億円の土地が、相続税の申告の際には、1億6000万円の土地であると評価され、結果として遺産総額が4000万円減ることになります。
その結果、遺産が見かけ上、目減りしたような状態になり、その分、相続税が下がることになります。
2 現金を建物に変える
仮に1億円の現金を持っていた場合、その1億円が遺産としてカウントされます。
しかし、1億円でアパートを建築すると、多くの場合、そのアパートの評価額は1億円を下回ります。
たとえば、1億円で建築したアパートが、6000万円の評価額になった場合、4000万円遺産を圧縮できたことになります。
遺産の圧縮ができれば、その分、相続税の負担を軽くすることができます。
つまり、現金を建物に変えることで、相続税の対策が可能なのです。
3 アパート経営及びその注意点
これまで述べたとおり、現金で土地を買ったり、建物を建築したりするだけでも相続税評価額を圧縮させることができるので、相続税対策になります。
そして、現金で土地を買ってアパートを建て、アパート経営をすることは、さらなる相続税対策になります。
というのも、賃貸アパートを建築した土地は貸家建付地であり、所有者が自由に使えなくなるため、自用地(自宅の敷地など)を基準として評価額が大幅に減額されます。
また、アパートを建築した土地は貸付事業用宅地となり、相続時には小規模宅地等の特例を利用して、面積200平方メートルまでの相続税評価額を50パーセント減額させることができます。
そして、アパートの建築資金を金融機関で借りた場合、相続時に借入金の残りを相続財産から債務として控除することができます。
のみならず、アパート経営がうまくいけば、家賃収入が入る資産を残すことができます。
その反面、空室が多くなると家賃収入が減るため、相続財産から控除できる借入金が残る一方、金融機関への返済が難しくなるおそれがあります。
また、賃貸割合が低くなると貸家建付地の評価額が上がってしまうため、相続税の負担も重くなる可能性があります。
アパート経営は、メリットとリスクを慎重に見極める必要があります。
4 お金を保険金に変える
たとえば、お父さんが亡くなり、長男が500万円の死亡保険金を受け取ることになった場合、この保険金は「みなし相続財産」として相続税の課税対象になることが原則です。
しかし、死亡保険金には「非課税枠」と呼ばれるものがあり、「非課税枠」の範囲内であれば相続税が課税されません。
具体的には、500万円×法定相続人の人数分が「非課税枠」です。
例えばお父さんが亡くなり、相続人が長男と二男の場合、保険金が1000万円までであれば非課税枠の範囲内なので、相続税が課税されません。
仮にお父さんが1000万円を現金で持ったまま亡くなれば、その1000万円に相続税が課されます。
しかし生命保険に変えるだけで、1000万円を税金の負担なく相続人に残すことができるため、簡単かつ効果的な相続税の対策と言えます。
相続税に関するお役立ち情報
相続税申告は馴染みがないという方がほとんどかと思います。当サイトでは様々な情報を掲載しておりますので、情報収集の際にもご活用ください。